つけ麺やろぉじ@出町柳
百万遍、出町柳のあたりはやはり京大のお膝元ということもあるのでしょうか、古くから続くカフェがあったりどことなくカルチェラタン的な、独特の雰囲気があって好きなエリアです。中でも好きなお店が日本で最初にフランスパンを作ったという歴史ある喫茶店「進々堂」。同じカフェでもやはりそこはサンジェルマンではなくカルチェラタン的な空気感が好きで良く足を運びます。このあたりの路地裏などを歩いてお気に入りの店を見つけるのも旅の楽しさの一つだったりします。
そんな出町柳の路地裏に2007年オープンした店が「つけ麺やろぉじ」です。こちらは烏丸御池の人気店「麺や高倉二条」の2号店。昨年には四条に「和醸良麺すがり」という3号店もオープン。その勢いは止まるところを知りません。3号店の方もとても気になっているのですが、こちらのお店が未訪だったことと、この店の近くにお気に入りの和菓子屋さんがあり、そこにも行きたかったので今回は順序通りに2号店の方へと寄せていただきました。
百万遍の路地裏を歩いていくと、こんなところに、というような場所にひっそりと建っています。カーナビでポインティングして行ったにも関わらず店の前を素通りしてしまいました。以前はお寿司屋さんかお蕎麦屋さんだったのでしょうか、一間間口の細長い店はカウンターのみで、本店同様どことなくレトロな雰囲気を持ちながらもお洒落な今風のテイストも醸し出しています。こちらは店名にもあるようにつけ麺がメインのお店ですが、本店と同じくラーメンもあります。またつけ麺の締めのお楽しみとして「ぶぶ」が用意されています。
まず先に出て来たのは「らーめん(写真)」(700円)。本店譲りの全粒粉を使った自家製麺は蕎麦のような雰囲気です。ざっくりとした食感が心地よく、濃厚なスープともよく馴染んでいます。豚骨ベースのスープに魚介のエッジが効いた味わいは、京都ラーメンというよりも実に東京的というか、昨今の流行に沿った方向を向いています。化学調味料不使用とのことですが、まったくその弱さを感じさせない旨味にあふれたスープでした。また大きくざく切りにした刻み玉葱がなかなかいいアクセントになっていて、僕が薬味玉葱好きであるということを差し引いても非常に合っていると感じました。
そしてもう一品、こちらの看板メニューである「つけ麺」(680円)を200gで。こちらでは麺の量を同料金にて200g、300g、400gから選ぶことが出来ます。こちらはラーメンとは異なりステンレスの器に入ってきます。麺は同じ全粒粉を使った麺で、当然と言えば当然でしょうがラーメンよりもつけ麺の方が麺の持つ素材感を十分に感じることが出来ます。つけダレはラーメンと同じ方向を持つ豚骨魚介味で、しっかりと旨味を含んだつけダレは美味しく、麺とも合っていました。卓上に置かれたにんにく鰹やカレー粉、山椒などで味の変化を楽しめますが、これらの調味料はつけダレに入れるよりも日本蕎麦と同じように麺にかけるのが正解だと思います。またカウンターの上にはIH調理器が置かれており、これの上につけダレの器を乗せることで、途中で冷めてしまったつけダレを再加熱出来るのです。ステンレスの器はこの為でもあるのでしょう。よくつけダレを温め直してくれるお店はありますが、忙しい時などそれを頼むタイミングをはかるのも難しく、そういう意味では自分で加熱出来るこのシステムは無粋といえば無粋ですが便利で良いと思います。ただこちらのラーメンのスープがしっかりと濃度があるものだけに、ラーメンの後にこちらを食べると正直つけダレに若干の弱さを覚えました。もう少し辛味なり酸味なりのフックをつけるとより旨味が際立つようにも感じました。
しかしその若干の不満を吹き飛ばしてくれるのが締めの「鯛ぶぶ(写真)」(200円)です。「ぶぶ」とはぶぶ漬け、つまりはお茶漬けのこと。こちらでは鯛と鰯の二種類のぶぶが用意されています。つけ麺を食べ終わった頃合いに声をかけると、一膳分ほどのご飯と急須に入った出汁が出されます。この出汁で濃厚なつけダレを割ってそこにご飯を入れて食べるわけですが、いやもうこれが美味しいのなんの。まず鯛の香り豊かな出汁を注ぐところから心躍ります。繊細な鯛の旨味が、つけダレの豚骨と節系の強い旨味と見事に混ざり合い、それをご飯と共にしゃくしゃくと啜る。つけ麺の締めでぶぶを食べているのか、このぶぶが食べたいからつけ麺を頼むのか、なんだかどちらが主役だか分からなくなるほどの存在感です。こちらの店に来たら必ずや注文していただきたい逸品だと思います。
■ラーメン:つけ麺やろぉじ
京都府京都市左京区田中大堰町168-1
075-724-3233
11:00~15:00,18:00~21:00
不定休
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