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Thursday, 16 December 2010

週刊文春12月16日号(12/9発売)

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日発売の週刊誌「週刊文春」(文藝春秋)にて「ラーメン生誕100周年記念奉祝!ああ思い出の中華そば」という特集が掲載されています。この特集はラーメン生誕百年を記念して、ラーメン好きの芸能人や著名人の皆さんが「昔ながらの中華そば」というテーマで、オススメの一杯をご紹介するという気合いの入った企画です。こちらの特集にて不肖私山路も監修という立場で「21世紀の中華そば名店」と題して、昔ながらのノスタルジックラーメンを7杯ご紹介させて頂いております。

 僕は小学生の頃より父親が読んでいた週刊文春を愛読していた生粋の文春ユーザー。何しろ「ギャグゲリラ」も読んでいましたし、和田誠さんが表紙イラストを書く前から読んでいます(笑)。そんな文春さんでお仕事をさせて頂いたことは身に余る光栄と共に、お声掛けいただいた文春編集部の皆さんに感謝感謝です。本当にありがとうございました。

 週刊文春は本日9日発売です。機会がありましたら、ぜひ書店などでお手に取って頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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■雑誌:週刊文春12月16日号(文藝春秋)350円

↓昔ながらの中華そば!↓

Thursday, 30 April 2009

武田流古式カレーライスと支那そばの店インディアン@蓮沼

Indeank田区は住んだことはないのですが、古くからの友人が多く住んでいたりして、学生時代は夜な夜な遊び歩いていたり、僕が生まれる以前の山路家は池上に居を構えていたりして、何故か馴染みのあるエリアです。電車の写真を撮るのも好きな子供でしたから、当時の目蒲線をよく撮りにいったものでした。たまに「太田区」と間違えて書かれている方もいらっしゃいますが、正しくは「大田区」。大森と蒲田が一緒になったので大田となったのですね。

 そんな大田区蓮沼で半世紀以上に渡り愛されている老舗が「インディアン」です。こちらのお店の存在を知ったのは多分ラーメン食べ歩きを始めてすぐだったと思います。元々ラーメンよりもカレーが好きだった僕としては、カレーも美味しいという言葉はかなりの吸引力があり、千葉から車を飛ばして食べに行ったことを覚えています。またこちらご出身のお店が同じ大田区の池上にもあり、そちらにも何度も足を運びました。そのレトロ感溢れる雰囲気と決して古さを感じさせないその味に感動し、拙書「トーキョーノスタルジックラーメン」でも紹介させていただきました。拙書内の「もう一つの東京ラーメン」というカテゴリは、この店のために作ったと言っても過言ではありません。

Indeanc 洋食出身の先代、故武田金造さんが創業したのが1953年。その味と人柄に惹かれてこの店を継ごうと決めたのが、同じく洋食の世界で腕を鳴らしていた永岡道明さんでした。東京會舘で長年働いていた永岡さんですから、やはり同じ洋食出身の武田さんとは通じるものがあったようです。その先代が考案したレシピをそのまま守っているというのが、こちらの看板メニューである「最高級カレーライス(写真)」(1,000円)です。まず「最高級」と高らかに宣言しているところが素晴らしいですね。そしてメニューには「当店より美味しいカレーがございましたら御一報下さい。勉強にまいります」との文言も。これは相当な自信が無ければ書けないことだなと思いますが、どうもこれは先代時代から書かれていたもののようです。まず最初に香辛料の辛さと香りが立ち、しばらくしてから玉葱などの野菜や果物の甘味が追いかけてくるその味わいがお見事です。白いご飯が合うカレーは洋食としてのカレーです。深い旨味をたくわえた、コクと切れがあるカレーとでも言いましょうか。妙にもったりしていないカレーは戦前にレシピを考えたといいますが、今でも感動出来る味になっているのが驚きです。

Indeanm そしてもう一つの看板メニュー「支那そば(写真)」(700円)。どこまでも透き通った透明感あるスープは塩味です。支那そばと言えばイメージとして醤油ラーメンだと思うのですが、故武田さん曰く支那そば、つまりは中国発祥の麺料理の味はやはり塩なのだと。そのすっきりとしたスープには動物系素材は使われておらず、宗田鰹や帆立貝など魚介系素材の旨味と野菜の甘味で構築され、玉葱の香り油がほのかに優しく香ります。こちらの支那そばはカレーと違って永岡さんが随分と試行錯誤されて今の味にたどり着いたのだとか。塩だれなどは同じ洋食出身のラーメン店主である「支那そばや」の佐野実さんにもアドバイスを貰ったのだそうです。

 この支那そばの面白いところは、無論この支那そばだけで食べても美味しいのですが、カレーと一緒に食べるとその美味しさが倍増するところ。支那そばとカレーを一緒に頼むと1,200円、支那そばと半カレーだと1,050円になるお得なサービスセットメニューがありますので、こちらではぜひ両方を食べて頂きたいです。二大国民食と言われるラーメンとカレーですが、この両方がハイレベルで、しかも合わせて食べると美味しさが増すのがこのインディアンなのです。

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Indeanラーメン・カレー:武田流古式カレーライスと支那そばの店インディアン
東京都大田区西蒲田7-16-1
03-3738-1902
11:00~19:00
※スープ切れで終了
日曜定休

Tuesday, 14 April 2009

天天有本店@一乗寺

Tty2福菜館と並んで、やはり京都のラーメンと言って欠かせないお店が一乗寺の「天天有」です。僕にとって京都の朝が新福で始まるように、京都の夜は天天有で終わります。この天天有がある一乗寺周辺は大学が近いこともあり、ラーメン店が数多く建ち並ぶ正に激戦区。天天有はその激戦区を牽引する老舗格のお店ですが、本当に最近は近隣にラーメン店が増えました。何しろ2006年秋には天天有の真隣に、ラーメン二郎出身の店主が営む「ラーメン荘夢を語れ」というお店が出来たほど。これだけ周辺にラーメン店が建ち並ぶ一乗寺界隈はラーメン好きにとっては連食に向いていると言えばそうですが、あまりにも近隣に集中し過ぎているのでインターバルが取り辛いほど。しかしこれだけお店が出来ても天天有の前には相変わらず行列が出来るのですから流石です。

 この日も夜の9時過ぎに行きましたが、相変わらずの行列振り。しかしこちらのお店は回転が早いのでスムーズに中に入ることが出来ます。また店の外にいる時にメニューも配られるので時間のロスを防ぐことが出来ます。こちらのメニューは基本的には至ってシンプル。「中華そば」と「チャーシューメン」しかありません(他に半玉のお子様ラーメンもありますが)。ただオプションがいくつか用意されておりカスタマイズが可能になっています。カスタマイズ出来る項目は結構あって、まず麺の形状をストレートか平打ち麺から選ぶことが出来、麺の硬さも選べます。さらにタレの濃さ、背脂の多さも増やすことが出来ますし、葱の量も増量が可能です。また通常の中華そばよりもチャーシューを減らして、代わりに煮卵または温泉卵を乗せることも出来ます。これらすべてが通常の料金内で可能になるのです。その他、1玉半の中盛りにしたい場合には50円の追加となります。

Ttym 僕がいつもこちらで頼むのは「中華そば並葱多いめ(写真)」(600円)です。麺やタレ、油などはすべてノーマルのママで、葱だけを「多いめ」にします。「多め」ではなく「多いめ」というのがこちらの言い方なのですね。個人的にはラーメンの薬味ネギというのはあまり好きではないと言うか、猫も杓子も葱ネギねぎというのは如何なものかと思っているのですが、こちらの葱は京都ならではの「九条葱」。この九条葱には意味があるというか、この葱がなければ京都ラーメン、少なくとも天天有のラーメンは成立しないと言ってもいいほど、重要な構成要素になっていると思います。白葱の持つ独特な滑りや香りがなく、青葱ならではの食感と味わいはこの店のスープに欠かせない存在です。

 濃厚で粘度のある白濁スープに甘めの醤油ダレがこの店の特徴。そこにストレート麺がよく絡みます。スープは濃厚でありながら後味にしつこさがなく、コクと深みを感じる味わいです。甘めの味付けがクセになります。そこに増量した九条葱が実に合うのです。麺と絡むとまた一層美味しい。チャーシューも通常の中華そばにも関わらず結構乗ってきます。少々小振りの丼ではありますが、十分満足出来るボリュームです。味の好みは十人十色でしょうが、これだけしっかりと作っているラーメンを600円で提供しているのは立派だと思います。最近になって四条烏丸などいくつかの場所でチェーン店を出店されていますが、コンセプトが異なると言いますかやはり本店とは別物。ですので、やはりここは本店をお薦めしたいと思います。

 しつこ過ぎず、かつストレスもなく、店主さんはじめ、お店の方達の過不足ない接客も実に良いのです。周辺に出来た店もいつも気にはなるのですが、やはりここへまず足を運んでしまう。僕にとって天天有とはそんなお店なのです。

 ちなみに、京都にはなかなか行けない!という方には宅配で天天有の味が楽しめる通販もあるようです。一つは「京都ラーメン天天有(2食入)」で、もう一つは>「京都ラーメン天天有(3食入)」。違う会社から出ていますので、食べ比べてみても面白いかも知れません。

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Tty1ラーメン:天天有本店
京都府京都市左京区一乗寺西杉ノ宮町49
075-711-3255
19:00〜翌2:30
18:00〜翌1:30(日祝)
水曜定休

Saturday, 11 April 2009

新福菜館本店@京都

Sakura_2の週末、ふと思い立って京都に桜を観に行って来ました。果たして京都という場所はふと思い立って行くような場所なのかとも思いますが、本当にふと思い立って行ってしまったのです。それは金曜深夜のことでありました。翌日からの土日をどう過ごすか、せっかく休日ETC割引があるのだから、一度くらいはどこか行けるところまで行ってみようかと。とは言えつい先日箱根に旅に行ったばかりですし、まぁ関東から日帰りで行けるところはないものかなどと、ネットで色々と検索をかけておりました。その時にふと見つけてしまったのが「京都で桜が満開」というニュース。京都、京都…、京都かぁ…。さすがに京都は遠いよなぁ。

 ご存知の方も多いでしょうが、僕は根っからの京都好きで毎年のように遊びに行くのですね。しかし向こうではいつもレンタカーを借りて動いていますが、京都まで車で行ったことなどはありません。一度はマイカーでも来てみたいなとは思っていましたが、実際にどのくらいの距離なのかも把握していませんでした。そこで地図や高速のルートを確認してみると千葉から京都までおよそ600kmの距離がありました。これまで600kmなどという距離を一気に走ったことはありません。それはさすがに無理だよなぁと思いつつもちょっと計算してみますと、仮に時速60kmで走り続けても10時間。しかし実際には高速しか使いませんので平均時速100kmとして6時間。そう考えているうちに何だか行けそうな気がして来ました。というよりも気分はもうすっかり京都になっています。たださすがに長時間ドライブして向こうで観光して帰って来るのでは寂しいし体力も持たないだろうと、浮いた高速代で安いビジネスホテルをネット予約して(余談ですがこのホテルの隣は今話題のこちらの某財団法人でした)、寝るつもりだったパジャマを服に着替えて明け方4時前、愛車に飛び乗り一路京都へとロングドライブを決行しました。途中3度程休憩を挟み、1回は30分ほどの仮眠も取りましたが、無事におよそ7時間後の午前11時には京都に入りました。

 東名東京料金所から名神京都南インターまで1,650円。割引するって言ってるんですから安いのは当たり前のことではありますが、料金所を通過してこの表示を見た時はちょっと感動です。逆に言うとこんなに安くしなくてもいいんじゃないのかなぁとも思いました。ただでさえ車を持たない方にはメリットのない施策なのですし、近場に行っても遠出しても一律料金というのもバランスが悪過ぎるような気もします。さらには大都市近郊エリアはまた計算が異なるややこしさもありますし、いっそのこと一律土日は高速道路半額、とかの方が分かりやすいようにも思うのですが。少々話が横道に逸れました。

Shinpuku2 さて市内に入って真っ先に向かった場所はご存知「新福菜館本店」です。僕の京都の旅はいつもここから始まります。関東ですとやはり話題の新店などを追っかけてしまうわけですが、京都ではそもそもラーメン以外にも食べたいものがいっぱいありますし、そこで数少ないラーメンを食べる時にはやはり新店よりも馴染みのある老舗の味を食べたいと思ってしまうのです。これまで数え切れないほど京都には遊びに来ていますが、修学旅行や子供の頃の家族旅行はさておき、それ以外でこの店に来なかったことはないのではないでしょうか。そのくらいリピート率が高いお店が「新福菜館」なのです。創業60年余、京都屈指の老舗人気店はこの日も店内満席で、客足が切れることがありません。そして店内の活気あふれる声、いつ来ても変わらぬ雰囲気で迎えてくれます。この雰囲気の中で食べるからより美味しく感じるのですね。

Shinpukum こちらで頼むものは「中華そば並」(650円)と決まっています。見た目真っ黒の醤油スープはある意味関東的なアプローチの濃口醤油味ですが、醤油の香りとコク、そして豚と鶏の味わいが優しくかつ力強く広がるスープです。麺はもっちりとした食感のストレート麺で、スープを吸って色が醤油色になっていきます。スープをしっとりとまとうかのような食感がクセになります。薄く切られたチャーシューがたっぷり入り、このチャーシューは麺と一緒に頬張ると美味しいのです。そして何といっても京都といえば九条葱。たっぷりの九条葱はスープにいいアクセントを与え、薬味というよりも具としての存在感があります。一過性のブームのような味ではなく、何度食べても飽きずに美味しく食べられる、これこそ本物のラーメンであるように思います。

Shinpukur そして中華そばと一緒に必ず頼むのが「ヤキメシ」(500円)。中華料理店などの白いお米に黄色い玉子や赤い人参、チャーシューなどが入ったカラフルなものではなく、醤油色の艶やかなご飯はチャーハンというよりもヤキメシという言葉が実に良く似合います。厨房からは中華鍋をカンカンと小気味良く振るう音が常に聞こえてきます。普段あまりラーメンとご飯類を一緒に食べることはないのですが、こちらのお店ではこのヤキメシも頼まないと落ち着きません。実際お客さんのほとんどが注文する最強のサイドメニュー。サイドメニューというよりも、このヤキメシだけを食べに来るお客さんもいるほどなのです。支店にも必ずあるメニューではありますが、やはり本店がダントツで美味い。

 祇園白川沿いや先斗町の小料理屋さんや、町中を離れた料亭、あるいは親子丼や鰻などの老舗など、大好きな京都の食は色々ありますが、その中でも来る度に押さえておかなければならないポジションのお店がこちらの新福。ここでの食事を終えてようやく僕の京の旅が始まるのです。

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Shinpuku_2ラーメン:新福菜館本店
京都府京都市下京区東塩小路向畑町569
075-371-7648
7:30~22:00
水曜定休

Friday, 20 March 2009

中華珍々軒@上野

Chinchinkenm野から御徒町へと抜ける「アメ横」の一本裏にあるガード下で60年以上に渡り愛されている老舗ラーメン店が「珍々軒」です。ありそうでなかなかないこのストレートなネーミングに、レトロな雰囲気が漂う店が実に気持ちいいです。この店があるガード下のあたりには、もつ煮込みで有名な「大統領」や焼鳥店などが屋台のように立ち並び、まるで台湾の路地裏に紛れ込んだかのような錯覚にとらわれます。平日の昼に通りかかっても必ず一杯引っ掛けているご機嫌な人がいるのに痺れます。

 このアメヤ横丁という名前はその通り、元々飴屋が多く集まっていた横丁だったからなのですが、こちらのお店も創業当時は飴屋だったのだそうです。ラーメン店になってからも60年という長い歴史を数えます。路地に面した厨房は外から丸見えで、お店も全面開放になっていて外からすっと入って腰掛けられる気軽さがあります。路地にちょっとはみ出したテーブルに腰掛けて、買い物帰りの方やサラリーマン、多くの人たちが思い思いの楽しみ方をしているのが楽しいです。また常に人が出入りしている人気店ですが、厨房の職人さんやお店を回している女性のオペレーションが完璧なのですね。的確な指示とスピードで待たされている感がほとんどありません。

 キリッとした醤油が香る昔ながらの「ラーメン」(500円)も大変美味しく、郷愁を誘う味でお勧めなのですが、やはりこちらのお店に来たならば一番人気の「湯麺(写真)」(600円)を食べなければなりません。昨今のラーメン店のように店の側から仕掛ける「一番人気商品」ではなく、半世紀を越える長い年月の間お客さんの支持を集め続けた本当の「一番人気」の味は、まず間違いがないと僕は思うのですね。そしてもしそれが自分の口と合わないのであれば、それは自分が悪いと考えるしかないのです。だからここでは「湯麺」。何がなんでもまずは「湯麺」を食べてみましょう。

 鶏ガラベースのスープには豚足、豚皮やモミジなどが入り、見た目よりもコクがあって、さらに適度に粘度もあって物足りなさはありません。そして熱々に仕上げられたたっぷりの野菜たちは、適度にスープをまといシャキシャキ感と柔やわ感のバランスが実にいいです。麺は中太のストレート麺でコシがあってスープとの絡みも良いです。そしてこの湯麺で欠かせないのが卓上に置かれた「自家製辣油」。ある程度基本の味を楽しんだ後にこれを一回し、二回し、好みで湯麺の上からかけ回すと、スープの味に深みが増して劇的に味が変化します。

 と、偉そうに語ってはみたものの、やはりこういう場所で食べるラーメンには蘊蓄や作法など不要。何を使ってるだの麺がどうだの気にすることなく、出て来たものを自分の食べたいように食べるのが一番です。スタイリッシュでお洒落な空間でジャズをBGMに味わうラーメンもいいですが、ガード下の合間から見える青空の下、雑然とした路地裏に出されたテーブルで、頭上から聞こえる電車の音を聴きながら味わうラーメンというのもまたいいものです。

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Chinchinken■ラーメン:中華珍々軒
東京都台東区上野6-12-2
03-3832-3988
9:30~20:00
月曜定休

Sunday, 08 February 2009

ラーメン梅乃家@富津

Umenoyam葉を代表するご当地ラーメンというか、地ラーメンとして有名なのは何と言っても「竹岡式ラーメン」ということになるでしょう。真っ黒い醤油スープに刻みタマネギ、醤油が香るチャーシューに麺は中細の縮れ麺。千葉の特に内房の人たちの嗜好にマッチして、北は市原あたりから南は南房総にいたるまで広がりを見せる竹岡式ラーメン。ちなみにこの「竹岡式ラーメン」という呼び名はあくまでもラーメンフリークやマスコミ用語に過ぎず、当の地元の方達はよく「房総ラーメン」という言い方をします。いずれにしてもこのご当地ラーメン「竹岡式」発祥のお店が竹岡漁港に創業して半世紀以上の老舗「梅乃家」です。

 よく雑誌やインターネットなど色々な場で、この「竹岡式」の定義であったりスタイルについて語られることが多いのですが、意外にも正しい竹岡式を知っている方や正しい竹岡式の情報が記されている記事は少ないのです。あくまでも竹岡式ラーメンの発祥とされる「梅乃家」を基本とした場合ではありますが、ご主人の坂口さんから伺ったお話を以前別のブログに書いたことがありますが、その記事をベースに間違いやすい竹岡式の知識をあらためてこの場で整理して再び書いてみようと思います。

 まず「竹岡式の麺は乾麺」という点について。当然麺は乾麺を使うのが基本ですが、それには理由があるのです。通常ラーメン店では、修業した技術のある方など決まった人が必ず麺上げをしています。それはその日の麺の状態などを見切って作るなど経験や技術が必要な作業だからです。しかし「梅乃家」ではパートのおばさんなど、作り手が素人であるばかりか、日によって違う人になります。そこで、どんな人でも同じように作れる麺ということで乾麺を使用することになったのだそうです。無論、麺の在庫管理がしやすいということもあると思います。

 また「乾麺でなければ竹岡式ではない」という指摘がよく見られますが、それは心情的には非常に同意出来る部分ではありますが、梅乃家でも乾麺以外に生麺を用意している事実からも決して正しいとは言い切れないと思います。そして実際に内房で同様のラーメンを出している店の大半は乾麺ではなく、生麺を使用しているのが現状です。ちなみに梅乃家で使用している乾麺は千葉市にある老舗製麺所「都一」製で、一杯のラーメンに約1玉半を使って作ります。作る時に乾麺をパキッと2つに割って合計1個半を投入するのです。また、他の店の生麺はたいていのお店が木更津にある「文明軒」というところの麺を使用しているはずです。

 またよく雑誌などでも記されている、「チャーシューの煮汁を乾麺の茹で湯で割る」というのは、実は間違いである可能性が強いです。もしかしたら昔はそうだったのかも知れませんが、少なくともここ数年梅乃家において私が見た限り、あるいは坂口さんから直接お話を聞いた限りにおいては、麺を茹でた茹で湯は捨てて、新しいお湯を丼に注ぐということになっています。理由は簡単で、茹で湯だと味がぼやけてしまうから。まっさらなお湯の方がスープが美味しくなるからだそうです。ただ醤油ダレに関しては別に作らず、チャーシューの煮汁というかチャーシューを煮た醤油を使うというのは間違いではありません。

 では「チャーシューは炭火で仕込む」という点はどうでしょう。これは似たような味を持つラーメン店で、炭火で仕込んだチャーシューを売りにしている店があったので、そのように思われている部分も多いと思います。また実際に梅乃家でもかつては大きなボールを七輪に乗せて、チャーシューを仕込んでいたそうです。しかし小さな七輪の上に大量のチャーシューの入ったボールを乗せると、非常にバランス、安定性が悪くなり、ひっくり返したり火傷したりといったことが何度かあったのだそうです。ですので、現在梅乃家のチャーシューは「ガス」で煮込まれています。しかし七輪は今でも梅乃家の厨房で活躍しています。それは麺を茹でる時に使われているのです。チャーシューは「ガス」ですが、麺茹では「炭火」が梅乃家の流儀。理由は炭火の方が麺がふっくらといい食感になるからだそうですが、本当にそうかどうかは比較したことがないので私には分かりません。

 ここまではいわゆる「梅乃家」のラーメンの話ですが、ご当地ラーメンとはフランチャイズのラーメンではないわけで、梅乃家のラーメンと全く同じである必要はないと思いますし自然伝播的に広がっていくのがご当地ラーメンであるならば、この派生形を見ていくのもまたラーメン文化の楽しい捉え方ではないかと思います。

 そうすると緩やかな基準にはなるかと思いますが、僕が個人的に考える「竹岡式」なり「房総ラーメン」と成りうる要素を列挙するとおよそ次のような感じになるでしょうか。

・醤油が立ったスープバランス
 (出来ればチャーシューの煮汁をタレに使用して欲しい)
・あまりダシの出ていない醤油色の黒いスープ
 (お湯もしくはさらっと取った軽いスープ。色は醤油の真っ黒で)
・食感、味にあまり感動しない麺
 (出来れば乾麺が望ましい。自家製麺などもっての他)
・ごろっとした大降りのチャーシュー
 (色々な調味料の味よりは醤油直球勝負の味)
・薬味は刻みタマネギ
 (刻み方はほどよい大きさで。もちろん増量可能)
・価格が安い
 (せいぜい600円程度が上限ではないかと思います)

 本家の梅乃家以外で、この系統のラーメンで人気のお店としては「富士屋ラーメン」「ラーメン天一」「四馬路」「ともちゃん」などが挙げ始めればきりがありませんが、どこもこの要素に沿ったラーメンを提供しています。それでいてどこもその店独自の味になっている。ここらへんがラーメンの面白いところです。

 さて、梅乃家に話を戻せば、久々に足を運んでみましたが相変わらずの美味しさでした。食べるのはいつも「ラーメン+やくみ(玉葱)(写真)」(650円)。無論、スープはお湯なわけですから、鶏ガラや豚骨を入れた方が食べ物として美味しくなるのは間違いなく、麺もおそらく生麺の方が美味しいのでしょうし、油も香り油などを浮かべた方が香りも良くなるのでしょう。しかし、それでは梅乃家のラーメンにはならないのですね。柔目に上げられた乾麺がスープを吸ってぐずぐずになっていくのが美味しく、醤油臭いチャーシューがまた美味しいのです。竹岡で半世紀以上に渡り愛されてきたこのラーメンを否定出来る人は誰もおらず、またそれはやってはいけないことでもあるのです。そう考えるとラーメン評論であったり、あれが美味しいこれが不味いと言っていること自体がとても不毛なことに思えたりもします。

 ノスタルジックラーメンという括りだけで見るわけではなく、ラーメンとはルールがなく各店のオリジナリティが詰まった食べ物であるという観点からも、これほどまで独創的なラーメンはありませんし、また支持を集め売れているラーメンが偉いという話で言っても、本当にここのお店はいつも行列で人気です。得てして老舗店などというと今はひっそりとというお店が多い中、梅乃家は県内でも一二を争う程の人気店。こういう力強い老舗があるというのは心強くまた嬉しいことでもあるのです。

Umenoya■ラーメン:ラーメン梅乃家
千葉県富津市竹岡401
0439-67-0920
10:00~19:00
火曜定休、月曜不定休

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