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Friday, 27 February 2009

河原成美 四季のラーメン 第15作「GENKAI TAICHA 2009」

Taicha多一風堂の店主、河原成美さんの創作ラーメンイベント「河原成美 四季のラーメン」に行って来ました。2001年に始まった一日限りのラーメンイベントも今回で15回目。以前は博多で行われていましたが、昨年より場所を東京・銀座にある「銀座五行」へと移して行われています。博多時代は残念ながら足を運べずにおりましたが、東京に来てからは毎回お邪魔して美味しいラーメンを楽しませていただいています。夕方5時から夜8時までで200食限定。毎回大盛況のイベントですので、この日も事前にしっかりと予約をして出かけました。開始当初から長蛇の列が出来ているという話でしたが、僕がお店に着いたのは午後7時半近くで、さすがに外の行列は10名程度にまで短くなっていました。

 行列に並んでいる間は顔見知りの力の源のスタッフの皆さんと談笑。そして店の前に出て来た河原さんにもご挨拶。心なしか今日はいつもに増して気合いが感じられます。程なくして店内に入ると宮崎さんや吉崎さんなどが忙しそうに動き回っています。彼らのような一風堂の店長クラスの人達が一同に会して回すオペレーションも見ていてとても気持ちがいいです。席に通されると宮崎さんが来て、麺の粉の比率や試作段階での苦労など、今日のメニューについての裏話などを色々と話して下さいます。

 期待の高まる中、いよいよラーメンが登場です。と言ってもお盆の上に小皿がいくつも並んだビジュアルは、ラーメンというよりもまるで和食膳のような出で立ち。今回の作品のタイトルは「GENKAI TAICHA 2009(写真上)」(1,500円)。2009とあるように、実は今回のラーメンは2007年の秋に四季のラーメン第10作として提供された「GENKAI TAICHA」のリメイクバージョンです。前回の時は博多でのイベントで食べることが出来ませんでしたので、念願かなったりというところです。

 まず小さな小鉢達の中身は、玄海産鯛刺身の胡麻和えに、炭火で燻した沖縄産長寿豚のチャーシュー、有明産海苔、京都産漬け物、玉子焼き、あられにセリやミョウガなどの付け合わせ。これは単品でつまんでも良し、ラーメンに入れても良し、あるいは茶漬けの具として使っても良し。食べる側の自由に委ねられています。ラーメンはなんだかんだ言っても他の料理と較べて絶対的に色が少ないわけですが、この器の中にある具材たちは実に華やかで食卓を彩っています。

 そしてラーメンですが、透明感のあるスープに茶蕎麦のような麺がたたずみ、そこに玄海産鯛の燻製と山椒の葉、柚子片が浮いています。清廉で凛とした表情の丼からは鯛の燻した香り、そしてスープの優しいうま味の香り。丸みのある塩味が地鶏と豚骨のうま味を上品にまとめあげ、そこに嬉野茶と米粉を混ぜた風味ある麺が絡みます。このラーメンをそのまま食べても十分美味しいのですが、先ほどの小鉢の具材を入れながら、味の変化を楽しむのも一興。

 締めには追い出汁と呼ばれる鶏とお茶が合わせられた優しい味わいのスープを。この追い出汁を俵むすびに入れてお茶漬けにして味わいます。無論ラーメンのスープも少し入れてみたりして、ここでも色々と自分好みの味が作れます。また、ラーメンの丼にもこの追い出汁を入れるとスープ割りのように味の変化が楽しめます。

 これでもか、という程にサービス精神旺盛の一杯は、1,500円という価格では正直申し訳ない程の楽しさです。ハレとケで言えば当然ハレのラーメンではありますが、得てしてイベントラーメンはどことなく作り手のエゴが滲み出たりするものですが、この一杯は独りよがりになっておらず、完全に客の立場に立っている一杯になっているのです。盆の上に乗っているすべてのものに意味がある。無駄なものが一切ないのが素晴らしいです。最後の最後まで飽きさせることなく食べさせるという強い意志が随所に感じられます。そこがエンターテイナー河原成美の真骨頂というところでしょう。

Kawahara 伺った時間も遅かったのでもうイベントも終盤、時折キッチンからホールに出て来ては河原さんが一つ一つのテーブルに寄って声を掛けています。そして僕らの食事が終わった頃、河原さんがテーブルにやって来て下さいました。ちょうど杯数も終了したタイミングでしたので、河原さんも一段落したのでしょう、ゆっくりと腰掛けてニューヨークのことや一風堂の今後など、色々なお話をして下さいました。もう河原さんとはかれこれ十年近いお付き合いになりますが、いつお会いしても変わらぬ若さとバイタリティで、常に元気が貰えるような気がします。こういうオヤジになりたいなと思う数少ない存在の人です。そしてこういうオヤジになる為に、僕ももっと頑張らなければと思うのです。

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409594995_1■ラーメン:銀座五行
東京都中央区銀座2-4-6銀座Velvia館7F
03-5524-0002
月〜水 11:30〜16:00(15:30LO)17:00〜24:00(23:00LO)
木金 11:30〜16:00(15:30LO)17:00〜翌3:00(翌2:00LO)
日祝 11:30〜16:00(15:30LO)17:00〜22:30(22:00LO)
無休

Sunday, 01 February 2009

ORIENTAL KITCHEN ITALIANA@千葉みなと

Okm葉駅西口の踏切そばに昨年オープンした「ORIENTAL KITCHEN」は、名前の通りバリなどを想起させるオリエンタルな雰囲気の中、美味しいエスニックを食べさせてくれる隠れ家のようなお店で、僕も気に入って何度となくお邪魔しているお店なのですが、そのオープンから間もなく、同じ千葉市内にイタリアンの2号店に和食の3号店と、続々出店攻勢をかけています。こちらはその2号店でその名も「ORIENTAL KITCHEN ITALIANA」。店名を聞くだけでは、オリエンタルなんだかイタリアンなんだか、なかなか難解な店名ではありますが、オリエンタルな雰囲気の中イタリアンを堪能出来る店なのかな、と捉えればとりあえず納得です。

 場所は問屋町という、千葉市民でも一瞬ピンと来ない場所にあります。ポートアリーナなどがあるエリアと言ったら分かりやすいでしょうか。最寄り駅としては京葉線、モノレールの千葉みなと駅になりますが、そこから京葉線沿いを蘇我方面に下っていってちょうど道路と線路が交差している場所の高架下にあります。ここは以前デザイン家具や雑貨などを売っているお店でしたが、その一角をレストランに改造したのだそうです。隣にその家具などを作る工房もあり、駐車場はそこと共用で使えます。落し気味の間接照明を活かしたエントランスの雰囲気は、千葉の本店同様オリエンタルな空間になっていてなかなかいい感じです。

 元々が家具や雑貨などを売っていたお店だけに、店内に入るとソファなどが置かれていて家具屋さんのよう。開放感のあるキッチンの前を通りフロアへ通されます。天井が低く細長いメインホールにはシーリングライトがなく、柔らかい光に包まれています。テーブルは都合10卓程度でしょうか、ホールには2人のスタッフが配置されています。ソムリエと思われる方はワインはもちろんのこと料理に対しての知識もあり、メニューも完全に把握していてテーブルウォッチも完璧ですが、もう一人の方はまだ修行中なのでしょうか、メニューを尋ねても一つ一つ厨房に聞きに戻りますしテーブルウォッチも甘いのが少々残念です。客席の方は日曜の夜という時間帯でしたがカップルや家族連れなどでほぼ満席状態。時折京葉線が上を通過して大きな音がしますし、駅からも大通りからも遠く、正直飲食をやるにはあまりいい立地とは思えませんが、予想以上にお客さんに認知されているようで何よりです。

 本店はエスニック料理をダイニングバーのように楽しめるお店ですが、こちらでは本格的なイタリアンをリーズナブルな価格で提供しています。コースなどは前菜が2つに温かい前菜、パスタ、ドルチェ、カッフェで3,500円から。8,000円のコースだと前菜だけで3皿、パスタも2つ出て、さらに魚と肉も出て来ます。シェフは西麻布の名店「アルポルト」の出身とのことですが、小皿料理的というか、コースで品数を多く出すあたりにアルポルトの面影を感じます。一方アラカルトはサラダ、前菜で10数品、メインが6〜7品、パスタもオリーブオイル系、トマト系、クリーム系と10数種類あり、その他にいわゆる黒板メニューも数多くあって、もどれも1,000円程度から揃っています。ちなみにコペルトは300円です。多分にコースの方がコストパフォーマンスも良いかと思いますが、この日はアラカルトでいくつか頼みました。

 前菜は「前菜5点盛り(写真)」(1,500円)「パンツァロッティ」(1,100円)をチョイス。前菜の盛り合わせはフリッタータあり、マグロのタリアータありと、適量を楽しめます。またテーブルでカットしてくれるパンツァロッティは前菜のところに書かれていたのでなめてましたが、なかなか大きなボリュームにビックリしました。サクッとした皮の表面ともちっとした皮の中、そしてモッツァレラやトマト、角煮などが入った具も濃厚で美味しいです。パスタは「手長海老とポルチーニソースのスパゲッティーニ」(1,800円)をチョイス。普段はオマール海老のようですが、この日は手長海老になっていました。濃厚でポルチーニの香り豊かなソースがスパゲッティーニの中でもかなり細めのパスタとしっかり絡んでいます。そしてセコンドは日替わりの中から「トキメキ鶏のグリル」(1,400円)を。トキメキ鶏とは千葉産の地鶏でフレンチ、イタリアンのみならず居酒屋や焼鳥店などでも最近良く見かける鶏ですが、皮はパリっとして身はジューシーでクセのない味わいの鶏です。ハーブが香るトマトベースのソースとも大変良く合っていました。調理、サーブのスピードもほぼ問題なく、若干セコンドの出て来るタイミングが遅いかなと思いましたが、お酒等を楽しむ人にとっては許容範囲ではないでしょうか。

 ドーンと構えたリストランテではなく、気軽に入ってサクっと楽しめて、それでいて出て来る味はしっかりとしている。そんな使いやすいお店ではないかと思います。今度来る時は魚料理を試してみたいと思います。

Ok■イタリアン:ORIENTAL KITCHEN ITALIANA
千葉県千葉市中央区問屋町7
043-238-9112
平日 11:30〜15:00(14:00LO),17:00〜23:00(22:00LO)
土日 11:30〜15:30(14:30LO),17:00〜23:00(22:00LO)
第1・3火曜定休

Saturday, 31 January 2009

日々飯菜ひきだし@海浜幕張

Hikidashim浜幕張の一角に広がる住宅街「幕張ベイタウン」。千葉県内では新浦安と共に非常に人気の高い住宅街です。この街には1995年の街開きと同時に移り住み、今でも親が住んでいることもあって、非常に馴染みが深い街でもあります。当初はパティオスと呼ばれるマンション群6棟しかありませんでしたが、今ではタワーマンションなども建ち並び街の景色も随分と変わりました。それに伴い当初は少なかったお店なども徐々に増えてきています。

 しかしながら飲食店のラインナップはというと、ベイタウンという街の規模の割には充実していないというのが率直な印象です。もちろんそんな中でもいくつかはお洒落でセンスのあるお店もあり、また隣接するホテル群に行けば一通りのしっかりした食事は食べられますので、いざという時にはまったく困ることはありません。ただ逆に普段使いで気軽にパッと入れる店となると、なかなか少ないのが現状でもあるかと思います。

 そんな幕張ベイタウンに昨年夏にオープンした創作和食の店「ひきだし」は、気軽に美味しい料理が楽しめる、普段使いが出来そうなお店です。場所はベイタウンの中心部、最初に出来たパティオス6棟のうちの一つ「パティオス2番街」。お洒落な街並に合ったファサードが印象的です。店内は照明が明るく設定されており、白を基調にまとめられていて実に開放的で明るい印象です。オープンキッチンに面したカウンターは広々としていて、席間もかなり贅沢にゆったりと取られています。壁側がソファタイプの4卓あるテーブル席も座りやすそうです。スタイリッシュでクールな雰囲気でありながら、多くの日本酒や焼酎の瓶が並べられていたり、蔵元から貰った前掛けなどが飾られているので、クールさにどことなく温かみも併せ持った空間に仕上がっています。

 週末の夜ということもありましたが、テーブルなどは予約でいっぱいで、飛び込みでなんとかカウンターに座ることが出来ました。週末などは予約をしておいた方が無難かも知れません。キッチンには3人いましたがうち1人はドリンカーでしょうか、シェフとその助手のような2人が処狭しと動き回っています。このシェフと思しき人の機敏な動きとスタッフへの的確な指示がお見事です。他にホールが3名ほどで回しており、ちょっとホールが手薄かなとも思いましたが、すべての客席がキッチンスタッフからも見渡せますし、これくらいのキャパシティには十分の配置ではないかと思います。ホールスタッフのテーブルウォッチとメニュー説明にやや難がありましたが、取り皿の交換などもマメに入りますし、全般的にはそれほどのストレスもなくサービス出来ていると思います。またこれはわざとなのでしょうが、店内に流れているBGMのヴォリュームが非常に小さく、その結果キッチンで揚げている油の音であったり調理の音、厨房での声かけなどがよく聞こえてきてライヴ感があります。

 グランドメニュー自体はそれほど多くありません。煮物は牛筋の煮込みや角煮など2品ほど。焼物は豚カルビやエイヒレの炙りなど4品。揚物は天婦羅、唐揚げ、さつま揚げなど5品。他は炒め物などやおにぎりなどが並びます。基本的にこういうお店ではいくつもお皿を頼んで、シェアしながらだらだらと食べるのがお約束になっています。この日も都合7〜8皿頼みましたが、その中でもなかなか良かったのはお店もイチオシという「豚のトロトロ角煮」(650円)「海老マヨちゃん(写真)」(650円)、それと「アボカドの香草パン粉焼き」(550円)などでしょうか。角煮は柔らかく煮込まれていて箸で持てないほど。海老マヨは中華というよりも和風よりの味付けがご飯に合います。香草の風味が立ちカリッとした食感のアボカドは自宅で再現してみたくなりました。どれもポーションが小さめで価格が安いので僕のような食べ方をする人間には実に都合がいいです。いわゆる前菜的なものから一品まで一通りがありますし、日替わりのいわゆる黒板メニューもありますので、過不足はないのですが、選ぶ楽しさを考えるとグランドメニューはもう少し数があってもいいかなとは思います。

 しかしその日によって変わる日替わりの刺身や煮魚などの魚たちには、なかなかの品揃えを感じました。この日の刺身は「小名浜平目」(800円)「鹿児島カンパチ」(780円)「愛媛真鯛」(750円)など6種類、他には「下北半島赤めばる煮」(1,250円)「愛知めひかり一夜干し」(550円)などがありました。カンパチも真鯛も身がしっかりとしていて美味しかったです。またお酒は日本酒、焼酎をそれぞれ十種類以上揃えていて、日替わりのものもいくつか用意されているようです。この日は日本酒なら「天吹愛山(佐賀)」(1,000円)「三十六人衆(山形)」(900円)など、焼酎だと「喜(七七七)六(黒木本店)」(600円)「海(大海酒造)」(580円)などがありました。

 いわゆる居酒屋的なダイニングバーのようなお店ですので、店に入るまでは正直料理のレベルはどんなものかと訝しく思っていましたがそれは杞憂に終わりました。この日は8皿程度しか食べていませんが、それらを食べた限りでは一皿一皿に対する作り手の意識の高さを感じます。食器の選び方も悪くないですし、500円だの600円などという低価格な料理にも関わらず、盛りつけがどのメニューも美しく、よく勉強しているなぁと思います。ランチも主婦層の間で好評とのことですがこの盛りつけで出しているのならばそれも頷けます。敢えて苦言を呈すれば出て来た水が不味かったことでしょうか。そこだけは少々残念ではありました。

 しかし全般的にはこの価格帯でこの味と接客であれば、十分満足出来るお店でありました。そしてやはり前述しましたがシェフの動きが実に良く、そういうお店はまず外すことがないということを再確認しました。キッチンのみならずホールにも目がしっかりと行き届いていて、調理のスピードも実に早いです。これだけの席数があれば、やはりキッチンはドタバタするかと思うのですが、オーダー順にこだわらずに取りかかるオペレーションでオーダーミスや乱れもほとんどありませんでした。なによりもオーダーしたものがスッと出て来て、しかも熱々のものを提供してくれるのは飲食店として当然のこととは言え、こういうタイプのお店でそれがしっかり出来ているというのはなかなかないと思います。

Hikidashi■創作和食:日々飯菜ひきだし
千葉市美浜区打瀬2-3-103
043-211-5519
11:30~14:00(13:30LO),18:00~23:00(21:30LO)
水曜定休

Friday, 16 January 2009

西麻布五行@西麻布

Gogyom多一風堂を展開する「力の源カンパニー」が手掛けるラーメンダイニング「五行」。当初、博多の一風堂西通り店の上階にあったお店でしたが、博多店は今では別の場所に移転して、博多以外にも西麻布、京都、銀座、代々木上原と5店舗まで増えました。僕も大好きなお店の一つですが、そんな五行初の支店にして東京初進出の店が「西麻布五行」です。

 一軒家レストランやダイニングバーなど、小洒落たお店が立ち並ぶ星条旗通りにこちらのお店がオープンしたのが2003年6月ですから、早いものでもう6年近くが経つのですね。ちなみに星条旗通りというのは、この通り沿いに米軍が発行している機関紙「Stars & Stripes」の出版元「星条旗新聞社」があるからなのだそうです。この辺りだと昔はよく「かおたんラーメン」通称「えんとつ屋」に足を運んだものです。この西麻布五行は「中華麺酒場」というコンセプト通り、お酒とつまみが楽しめて締めにラーメンを味わえるお店です。ゆったりした雰囲気の中、深夜遅くまでまったりと過ごせるのが気に入っていて、仕事でもプライベートでもよく利用するお店です。昨夜は出版社の編集と打合せに使い、仕事半分で楽しい時間を過ごしました。

 看板などどこを見てもラーメンの文字は書かれていませんので、知らない人が通ったらラーメン屋さんとは思わないかも知れません。しかしどことなく懐かしさを感じさせる看板や提灯は、鼻の効く人ならば思わず立ち止まらずにはいられないファサードの重要な要素になっています。店内は落し気味の照明で、深々と座りゆったりとくつろげるソファ席が多く配されています。ラーメン屋さんというのは1席あたりをいかに多く回すか、即ち回転率が重視されるわけですが、この店はラーメンを楽しめるダイニングバーですから、回転率よりも滞留時間に重きが置かれているように感じます。居心地が良ければ長居する。長居をすれば注文も増える。注文が増えれば客単価が上がる。ドリンクが出ればより利益率は上がっていきますから、ラーメンを何杯も出すよりも利益率はいいわけですね。

 時にこのような形態のラーメン店の価格を高いと言う方がいらっしゃいますが、ただ食事だけをパパッと食べるラーメン店とは異なり、こういうラーメンダイニングの場合は空間を楽しむ場所代であったり、サービスの料金も含まれていると考えれば、むしろ五行のコストパフォーマンスはいいのではないでしょうか。とは言え五行自体も銀座に出店した数年前までは、どちらかと言えば高価格志向のお店でしたが、ここ数年でメニューも絞り価格帯も低くなって、一品料理はどれも500円前後で頼めるようになりました。ましてやオープン当初と異なり、最近ではマスコミに単純に「ラーメン店」として露出する機会も多くなっているため、ラーメンだけを食べて帰るお客さんも時折見かけます。そんな中、西麻布でこの内装、サービスがあっての一杯850円というのは、片田舎にある小汚い雰囲気でサービスのサの字もないようなラーメン屋で700円のラーメンを食べるよりは、お金と時間の使い方としては遥かに有意義であろうかと思います。

 しかしやはり五行を存分に楽しむためには、ラーメンだけを食べて帰るのではなく、ゆったりとソファに深く腰をかけ、手羽先やらモツのサラダやら、炙り明太子やらをつまんで酒を飲み、自慢の中華麺で締める使い方をお薦めしたいところです。ラーメンは醤油、味噌、塩など5種類ありますが、この店の看板メニューはスープを火を立てて焦がす「焦がし」の醤油と味噌。どちらも好きですが、個人的には「焦がし醤油(写真)」(850円)が好みです。熱々に熱したスープの表面からは湯気が出ず、その油の膜に蓮華を入れると醤油を焦がした香ばしい香りがふわっと立ちこめます。自家製の低加水の平打麺は博多ラーメンのもつざっくりとした食感を感じさせながら、今までにない味わいの麺になっています。こういうタイプの醤油ラーメンはありそうでなかなかありません。ここにしかないオリジナルの一杯になっていると思います。

 言わずと知れた五行のオーナーである河原成美さんにこのラーメンについて伺ったことがあるのですが、札幌の「すみれ」と千葉の「梅乃家」に出逢わなければこのラーメンは出来なかっただろうとおっしゃっていました。スープを鍋で焼いて熱々にするという札幌ラーメンの手法であったり、真っ黒い醤油を全面に出した竹岡式ラーメンの存在感であったりに、刺激を受けたということなのでしょう。博多ラーメンが正しいラーメンだと思っていた河原さんは、そういう色々なラーメンの作り方を見て、ラーメンとはもっと自由であっていいのだと思ったのだそうです。その考えにたどり着かなければTVチャンピオンの3連覇もなかったでしょうし、五行のラーメンもきっとなかったでしょう。あるラーメンに刺激を受けて、そのラーメンに敬意を表し、そこからオリジナルのものを創出するその姿勢こそが「真のインスパイア」であり、昨今言われているインスパイア系などという安易な言葉で括られるラーメンは、元のラーメンに対してのリスペクトに欠けた「劣化コピー」あるいは「パクリ」でしかありません。

 五行の登場以降、同じようにラーメンを食べさせるラーメンダイニング的なお店を時折見かけるようになりましたが、得てしてそういうお店の場合はコックコートやギャルソンコートなんかを着込んだりして、フレンチレストランやイタリアンレストランに寄っているといいますか、穿った見方なのかも知れませんがラーメン店であることをどこか恥ずかしいと感じているような、ラーメン店であることを自ら否定しているような姿勢が見受けられます。しかし五行の素晴らしいところは、スタイリッシュでありながら結局のところはレストランなどではなく、ダイニングバーというか要は居酒屋で、店内には気取った雰囲気がなく気軽に過ごせる空間になっているところ。スタッフの接客も常に元気があり店内は活気に溢れています。ここは何屋かと問われたら「ラーメン屋です」と言い切れる自信と言いますか、そもそもの「出自」というものを忘れていないのです。その潔い姿勢がとても心地よく、僕はまたこの店へ足を運ぶのです。

Gogyo■ラーメン:西麻布五行
東京都港区西麻布1-4-36ロジマン西麻布1F
03-5775-5566
平日 11:30〜16:00(15:30LO)17:00〜翌3:00(翌2:30LO)
日祝 11:30〜16:00(15:30LO)17:00〜0:00(23:30LO)
無休

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