武田流古式カレーライスと支那そばの店インディアン@蓮沼
大田区は住んだことはないのですが、古くからの友人が多く住んでいたりして、学生時代は夜な夜な遊び歩いていたり、僕が生まれる以前の山路家は池上に居を構えていたりして、何故か馴染みのあるエリアです。電車の写真を撮るのも好きな子供でしたから、当時の目蒲線をよく撮りにいったものでした。たまに「太田区」と間違えて書かれている方もいらっしゃいますが、正しくは「大田区」。大森と蒲田が一緒になったので大田となったのですね。
そんな大田区蓮沼で半世紀以上に渡り愛されている老舗が「インディアン」です。こちらのお店の存在を知ったのは多分ラーメン食べ歩きを始めてすぐだったと思います。元々ラーメンよりもカレーが好きだった僕としては、カレーも美味しいという言葉はかなりの吸引力があり、千葉から車を飛ばして食べに行ったことを覚えています。またこちらご出身のお店が同じ大田区の池上にもあり、そちらにも何度も足を運びました。そのレトロ感溢れる雰囲気と決して古さを感じさせないその味に感動し、拙書「トーキョーノスタルジックラーメン」でも紹介させていただきました。拙書内の「もう一つの東京ラーメン」というカテゴリは、この店のために作ったと言っても過言ではありません。
洋食出身の先代、故武田金造さんが創業したのが1953年。その味と人柄に惹かれてこの店を継ごうと決めたのが、同じく洋食の世界で腕を鳴らしていた永岡道明さんでした。東京會舘で長年働いていた永岡さんですから、やはり同じ洋食出身の武田さんとは通じるものがあったようです。その先代が考案したレシピをそのまま守っているというのが、こちらの看板メニューである「最高級カレーライス(写真)」(1,000円)です。まず「最高級」と高らかに宣言しているところが素晴らしいですね。そしてメニューには「当店より美味しいカレーがございましたら御一報下さい。勉強にまいります」との文言も。これは相当な自信が無ければ書けないことだなと思いますが、どうもこれは先代時代から書かれていたもののようです。まず最初に香辛料の辛さと香りが立ち、しばらくしてから玉葱などの野菜や果物の甘味が追いかけてくるその味わいがお見事です。白いご飯が合うカレーは洋食としてのカレーです。深い旨味をたくわえた、コクと切れがあるカレーとでも言いましょうか。妙にもったりしていないカレーは戦前にレシピを考えたといいますが、今でも感動出来る味になっているのが驚きです。
そしてもう一つの看板メニュー「支那そば(写真)」(700円)。どこまでも透き通った透明感あるスープは塩味です。支那そばと言えばイメージとして醤油ラーメンだと思うのですが、故武田さん曰く支那そば、つまりは中国発祥の麺料理の味はやはり塩なのだと。そのすっきりとしたスープには動物系素材は使われておらず、宗田鰹や帆立貝など魚介系素材の旨味と野菜の甘味で構築され、玉葱の香り油がほのかに優しく香ります。こちらの支那そばはカレーと違って永岡さんが随分と試行錯誤されて今の味にたどり着いたのだとか。塩だれなどは同じ洋食出身のラーメン店主である「支那そばや」の佐野実さんにもアドバイスを貰ったのだそうです。
この支那そばの面白いところは、無論この支那そばだけで食べても美味しいのですが、カレーと一緒に食べるとその美味しさが倍増するところ。支那そばとカレーを一緒に頼むと1,200円、支那そばと半カレーだと1,050円になるお得なサービスセットメニューがありますので、こちらではぜひ両方を食べて頂きたいです。二大国民食と言われるラーメンとカレーですが、この両方がハイレベルで、しかも合わせて食べると美味しさが増すのがこのインディアンなのです。
■ラーメン・カレー:武田流古式カレーライスと支那そばの店インディアン
東京都大田区西蒲田7-16-1
03-3738-1902
11:00~19:00
※スープ切れで終了
日曜定休
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